金銭消費貸借に関するQ&A ②お金の受渡しは必要か?

      2016/06/07

jyujyu

(例)

孫が、私のところを訪れ、50万円を貸して欲しいといっています。

実際に孫にお金を渡さなくては契約が成立しないと聞きましたが、手元に現金がない場合、契約は成立し得ないのでしょうか。

また、仮に「返す」との約束をしなかった場合、金銭消費貸借とはいえないのでしょうか。

 

A.契約が成立することはあります。

 

<金銭消費貸借の「要物性」>

金銭消費貸借の成立要件は「返還の約束」と「金銭の授受」ですので、金銭を授受しない限り、金銭消費貸借契約は成立しません。

このように、貸主が借主にお金、すなわち「目的物」を渡すことが契約成立に必要であることを、金銭消費貸借契約の「要物性」といいます。

 

したがって、「50万円貸してあげるよ」「1カ月後に返すよ」と口頭で述べただけでは契約は成立しません。

しかし、いかなる場面においても、杓子定規に現金そのものの授受が必要なわけではありません。

この要件は、社会の実情に合わせて緩和されています。

判例は、金銭の授受がなくとも現金と同一の経済上の利益が借主に与えられればよい、として、銀行の預金通帳と印鑑の手渡し、国債の引き渡し、約束手形の交付などの際にも「要物性」を満たすとして、金銭消費貸借契約の成立を認めています。

 

「要物性」で問題となるのは、まず「公正証書」を作成し、その後に抵当権の設定登記がなされ、最後に金銭を授受する場面です。

このように金銭授受の前段階でされる「公正証書」の作成は有効なのでしょうか。

この点、判例は緩やかに解釈し、消費貸借契約は、「合意の時に始まり目的物の授受の時に完成」するのだとし、公正証書はこの完成した消費貸借による具体的債務を表示するとし、その有効性を認めています。

 

なお、「返還の約束」は金銭消費貸借契約成立の要件です。

「返す」ことを約束しなかったのであれば、「もらった」こととなり、返済の必要はありません。

 

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