金銭貸借にて、貸主・借主が死亡した場合どうなる?

      2016/06/07

souzoku

①相続の発生

金銭消費貸借における貸主・借主の交替は、相続によっても起こります。

相続とは、人が死亡した場合に、その人の生前の権利や義務の一切が、死亡と同時に相続人に引き継がれることとなります。

そこで、貸主や借主が死亡した場合には、貸主の持っていた「お金を返してもらう」権利や借主が負担していた「借りたお金を返さなくてはいけない」という義務は、それぞれの相続人に相続され、引き継がれることとなります。

したがって、貸主や借主が死亡しても、金銭消費貸借契約がなくなるわけではなく、当事者が相続人に交替することとなります。

 

②相続人が複数の時

相続人が1人のときは、債権であれ債務であれ、そのまま相続人が引き継ぐこととなります。

他方、相続人が複数の場合はどうなるでしょうか。

亡くなったのが貸主の場合、金銭消費貸借契約に基づく債権は相続財産の1つですから、遺言や遺産分割協議によってその帰属を決定し、新しい貸主を定めることができます。

 

借主の死亡の場合でも、当然、相続人間では新しい債務者を決定し、相続人の1人の借主とすることができます。

しかし、これは相続人間の話であって、貸主はそれに拘束されません。

すなわち、貸主は、いずれの相続人に対しても、法定相続分を相続したものとして、各人にその返済を求めることが出来るのです。

このことは、相続人が結託して、無資力の相続人に債務を引き継がせる遺産分割協議を成立させた場合、借主がそれに拘束されるとすれば、多大な損害を被るからです。

 

なお、連帯債務が相続された場合、すべての相続人がそれぞれ債務全額に連帯して責任を負う事となれば、債権の担保力が何倍にもなることとなります。

そこで、連帯債務の場合は、法定相続分の範囲内で連帯債務を相続したこととなります。

 

連帯債務が複数の相続人に相続された場合はどうなるでしょうか。

連帯債務とは、複数の債務者が、1つの債務について、それぞれ独立して全責任を負い、そのうちの1人が弁済すれば、他の債務者の債務もすべて消滅する債務です。

連帯債務者の1人が死亡し、複数の相続人がその債務を相続した場合、すべての相続人が債務全額に連帯して責任を負う事となれば、債権の担保力が何倍にもなります。

そこで、連帯債務の場合は、相続人は被相続人の債務を法定相続分に応じて分割して承継し、その承継した範囲内で連帯債務を相続したこととなります。

 

③相続放棄

債務を相続した場合、相続人は、亡くなった人の借金を負うこととなります。

相続の放棄とは、相続人が自分について相続が発生することを拒否することであり、亡くなった人の権利・義務を引き継がない旨を家庭裁判所に申述する方法で行います。

亡くなった人が多大な借金を負っていた場合などには、相続人は相続放棄をすることによって最初から相続人ではなかったこととなります。

 

注意すべきは、相続放棄が認められるのは、相続人が自分に相続が起きたことを知ったときから3カ月に限られることです。

この3カ月の間に何もしなかった場合、相続人は相続を認めたものとみなされます。

したがって、多額の負債がある場合には、この期間制限に注意して早めに相続放棄の手続をとるようにしてください。

 

ただ、相続が起きたことを知っても、借金があることを知らなかったというケースで、それがやむを得ないと認められる場合などでは、被相続人の死亡時からすでに3カ月経過しても、相続放棄が認められる場合があります。

 

 - 金銭消費貸借に関する知識