金銭消費貸借に関するQ&A ⑥借用書に印鑑を押さなかった

      2016/06/07

innkann

(例)

私は、友人にお金を貸す際に、金銭消費貸借契約書を作成しました。

印鑑を持っていなかったので、名前だけ書きました。

印鑑が押していないと契約書の効力は認められないのでしょうか。

また、印鑑を押す場合、実印の方がいいのでしょうか。

 

A.契約書は有効です。

 

契約書において、署名と捺印をするというのが、一般的です。

でも、捺印がないからといって契約書が不完全というと、必ずしもそうではありません。

まず、署名欄に自ら住所・氏名を書いたのであればそれで足ります

その上で、捺印するというのは、確認的な意味合いでしかありません。

住所と名前をゴム印やワープロ打ちなどで記名した場合は、必ず捺印が必要となります

この違いは、法律上、「署名」と「記名・捺印」が同等の効力をもっているとみなされているからです。

したがって、署名があれば、記名と捺印は不要となります。

ただ、署名に加えて捺印をすることは社会通念上も一般的なことであり、それが望ましいといえます。

日本では、海外とは異なり、サインよりも印鑑を重視する傾向があります。

署名した上で捺印したということで、契約書通りの言意思表示をしたことがより明確になりますし、争いが生じたときに、通常、署名と捺印の両方がされることが一般的であることに乗じて「署名はしたが、その後、翻意して印鑑を押さなかった」などと反論される可能性もあるからです。

なお、住所についても記載することが通常です。氏名だけでは同姓同名の人がいるため当事者を特定することができません。

その人を特定するために氏名に加えて住所が必要となるのです。

さて、次に印鑑の種類について述べます。

一般的に、いって、実印、銀行員、認印、など複数の判子を持っている方が多いと思います。

契約書作成において、どの判子を押せばいいのか。

これについては、朱肉を使うタイプの印鑑であれば、特に制限はありません。

三文判でも実印でも、契約書の捺印としての効力にはかわりはないのです

ただ、捺印は、契約書を本人が本人自身の意思で作成したことを証明するものですので、その観点からは、大切に保管している印鑑ほど証明力が強いことは確かです。

すなわち、実印は、1人1本しか届け出ができないもので、通常大切に保管されているものであることから、他人が持ちだして押すことは通常考え難いものです。

これに対して、100円ショップなどで買った三文判は誰でも買えるし、保管状況もあまりよくないことが推測されるので、争いになったときに、実印に比べて「盗用された」という反論を受ける可能性が高いということです。

なお、インクが浸透するタイプの印鑑が一般的に契約書において適さないとされるのは、押印は、契約書を本人が作成したことを証明するものであるところ、印鑑は基本的には手彫で同じものが作れないのが原則であるのに対し、インク浸透印は同一のものが複数作れるからだとか、ゴム製で押し方によって印影が変わるだとか、インクが長期使用に適さないからだとか、インクがにじむからだとか、さまざまな理由があるようです。

 

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